コラム — 水と食料の備え 公開: 2026/07/23

高齢者向けの非常食、どう選ぶ?「やわらかい・減塩・開けやすい」を基準に。親が本当に食べられる備蓄食

非常食を買いそろえて安心していたら、いざという時に親が食べられなかった——これは、案外あることじゃ。 お店に並ぶ非常食は、若い人を想定した固いもの・味の濃いもの・容器を開けるのに力がいるものが多い。 噛む力や飲み込む力が落ちてきた親、塩分を控えている親には、そのままでは食べにくいことがある。 この記事では、高齢の親が本当に食べられる非常食の選び方を、順番に見ていくぞ。

図解: 高齢者向け非常食の選び方

結論を1枚にまとめた。気をつけたい点・選ぶポイント・そろえたい食品の例じゃ。印刷して、買い物のときに持っていくとええぞ。

高齢者向け非常食の選び方の図解。気をつけたい点: 噛む力・飲み込む力の低下・持病で塩分や糖分の制限・食欲が落ちやすい・慣れない味は食べにくい。選ぶ5つのポイント: やわらかく飲み込みやすい・減塩や持病に配慮・力がいらない開けやすい容器・温めなくても食べられる・食べ慣れた味を選ぶ。そろえたい食品例: レトルトのお粥ややわらかごはん・具入りの汁物やレトルト惣菜・ゼリー飲料や栄養補助食品・好きなお菓子や果物の缶詰

なぜ「普通の非常食」だと食べにくいのか

まず、なぜ高齢の親には特別に考えてあげる必要があるのか。理由を知っておくと、選ぶ基準がぶれなくなる。おもに4つじゃ。

噛む力・飲み込む力が落ちている

固い乾パンや、パサついたものは食べにくい。飲み込む力(嚥下)が落ちていると、むせて誤嚥(ごえん)の心配もある。やわらかく、のどを通りやすいものが安心じゃ

持病で塩分・糖分を控えている

非常食は日持ちさせるため味が濃い(塩分が高い)ものが多い。高血圧や腎臓・糖尿の持病がある親には、減塩・低糖の配慮がいる

食欲が落ちやすい

災害のストレスと環境の変化で、食が細くなりやすい。食べないと体力・免疫が落ちる。少量でも栄養がとれるもの、口当たりのよいものがあると助かる

慣れない味は口にしにくい

見慣れない防災食は、高齢の方ほど手が伸びにくい。ふだん食べ慣れた味を備えておくのが、じつは一番よく食べてもらえるコツじゃ

選ぶときの5つのポイント

上の理由をふまえると、選ぶ基準はこの5つに整理できる。すべて完璧でなくてよい。当てはまるものを増やしていくイメージじゃ。

① やわらかく、飲み込みやすい

レトルトのお粥、やわらかごはん、介護用の区分のある食品、ゼリー状のもの。水分を含んで、のどを通りやすいものを中心に

② 減塩・持病に配慮

「減塩」表示のものや、薄味のレトルト。持病があるなら、ふだんの食事制限に近いものを選ぶ。心配なときはかかりつけ医に相談を

③ 力がいらない、開けやすい容器

缶切り不要のプルトップ缶、手で開けられるレトルト、ふたの開けやすいパック。握力が弱くても開けられるかを確かめる

④ 温めなくても食べられる

停電・断水では加熱できないことも。そのまま常温で食べられるものを一定量そろえておくと安心。温かく食べられれば、なおよい

⑤ 食べ慣れた味を選ぶ

親が好きな汁物、缶詰、お菓子。いつも食べているものを少し多めに買っておくのが、無理なく続く備え方じゃ

そなえじぃ

いちばん大事なのは、「親が実際に食べられて、好きなもの」を選ぶことじゃ。 どんなに栄養があっても、口に合わなければ食べてくれん。 一度ふだんの食卓で試してみて、「これならいける」というものを備えに回す——それが確実じゃよ。

そろえたい食品の例

具体的に、こういうものをそろえておくと安心じゃ。特別な防災食コーナーだけでなく、いつものスーパーで買えるもので十分そろう。

主食: お粥・やわらかごはん

レトルトのお粥、やわらかいパックごはん、雑炊。温めなくても食べられるタイプを選ぶと安心。おもちはのどに詰まりやすいので避けるのが無難じゃ

おかず: 汁物・レトルト惣菜

具の入った味噌汁やスープ、やわらかく煮た惣菜のレトルト、魚や豆の缶詰(プルトップ)。水分とたんぱく質がとれるものを

栄養・水分: ゼリー・栄養補助食品

エネルギーゼリー、栄養補助飲料、経口補水液。食欲がない時でも口にしやすく、水分と栄養を同時に補える。食が細る災害時の強い味方じゃ

楽しみ: 好きなお菓子・果物の缶詰

やわらかいお菓子、あんこ、果物の缶詰など。「ほっとする一口」が、不安な避難生活で心を支える。親の好物をひとつ入れておこう

量の目安は、水と同じく1人3日分、できれば1週間分。飲料水(1人1日3リットル)とセットで考えるとよい。 くわしくは防災備蓄の基本もあわせてどうぞ。

災害時の食事で気をつけること

備えた食品を、いざという時に安全に食べてもらうための注意も知っておこう。

むせ・のどの詰まりに注意

パンやおにぎりは、水分と一緒にゆっくり。飲み込む力が落ちている親には、汁気のあるもの・やわらかいものを優先する

カセットコンロで温かい一食を

温かい食事は、体だけでなく心も元気にする。カセットコンロと予備ボンベが1つあると、お粥や汁物を温められる。ボンベは多めに備えておくと安心じゃ

そして一番のコツは、これもローリングストックじゃ。ふだんの食事で食べ慣れたものを少し多めに買い、古いものから食べて買い足す。これなら賞味期限切れを防ぎながら、いつも「食べ慣れた味」が家にある。 離れて暮らす親の家の食料は、こちらが点検しづらいので、期限の長いものを選ぶ・帰省のたびに日付を見るとよいのう。 親の家の備えを家族で共有したい方は、記入式の親の防災カルテ(無料)に、食物アレルギーや食事制限も書いておけるぞ。

よくある質問

Q. 高齢者向けの非常食は普通のと何が違う?

A. 市販の非常食は固い・味が濃い・容器を開けるのに力がいるものが多いんじゃ。高齢の方は噛む力や飲み込む力、持病、食欲などの事情があるでな。やわらかい・減塩・開けやすい・温めなくても食べられる・食べ慣れた味、を基準に選ぶと安心じゃ。

Q. 非常食はどれくらい備える?

A. 食料は1人最低3日分、できれば1週間分が目安じゃ。飲料水(1人1日3リットル)とセットで考える。ふだん食べるお粥や汁物、缶詰を少し多めに買って、古い順に食べて買い足すローリングストックにすると、期限切れを防ぎながら食べ慣れた味を備えられるぞ。

Q. 災害時、親の食事で特に気をつけることは?

A. 水分・栄養不足と、飲み込みのむせじゃ。食欲が落ちると水分も不足するでな、ゼリー飲料や栄養補助食品があると安心。パンなどは水分と一緒にゆっくり食べてもらう。温かい食事は元気につながるから、カセットコンロと予備ボンベもおすすめじゃ。持病で食事制限があるなら、かかりつけ医に非常時のことも相談しておくとよい。