親の家が被災したら?罹災証明書は「片づける前に写真」から【離れて暮らす家族ができること】
地震や台風で、離れて暮らす親の家が傷んだ。そんなとき、あとから必ず話に出てくるのが罹災証明書(りさいしょうめいしょ)じゃ。 内閣府によると、罹災証明書は、市町村長が家の被害の程度を証明する書類。支援金や仮設住宅、家の応急修理など、多くの支援を受けるときに必要になる。 ところが、被害を受けた親は、まず片づけを始めてしまいがちじゃ。片づけてしまうと、被害の大きさが分からなくなる。 いちばん大事なのは、片づける前に写真を撮ることなんじゃ。 この記事では、国や自治体の資料をもとに、写真の撮り方、申請のしかた、受けられる支援を順番に書いていくぞ。
図解: 罹災証明書 3つの順番
親の家が被災したときの順番を1枚にまとめた。スマホに保存しておくと、いざというときに見返せるぞ。
結論:片づける前に写真、申請は親の住む市町村へ
先に答えじゃ。親の家が被災したら、この3つの順番で動いてくれ。
家の外はなるべく4方向から、家の中は部屋ごとの全体と、傷んだところの寄りを撮る
申請先は被災した家のある市町村。窓口のほか、郵送やオンラインで受け付ける自治体もある
市町村の職員が家を調べ、被害の程度が決まる。その証明書で支援金や応急修理を申し込む
離れて暮らす家族ができるのは、電話で「まず写真」と伝えることじゃ。親があわてて片づけを始める前に、ひと声かけてくれ。
罹災証明書とは何か
内閣府の資料によると、罹災証明書は、市町村長が、災害による家の被害の程度を証明する書類じゃ。次のような支援を受けるときに必要になる。
- 被災者生活再建支援金
- 応急仮設住宅への入居
- 住宅の応急修理
- 災害義援金の受け取り
- 税金などの減免、各種の融資
災害対策基本法は、市町村長は被災した人から申請があれば、遅滞なく罹災証明書を出さなければならない、と決めておる。申請しないと、もらえない書類なんじゃ。
被害の程度は6つに分かれる
罹災証明書には、家の被害の程度が6つの区分のどれかで書かれる。目安は、家の損害の割合じゃ。
- 全壊:50%以上
- 大規模半壊:40%台
- 中規模半壊:30%台
- 半壊:20%台
- 準半壊:10%台
- 準半壊に至らない(一部損壊):10%未満
どの区分になるかで、受けられる支援が変わる。だからこそ、被害を正しく見てもらうことが大事なんじゃ。
火事のときは消防署
火事で家が焼けたときの証明は、消防署が扱う自治体がある。たとえば広島市は、火災による被害の証明は消防署で行うと案内しておる。親の地域ではどこが窓口か、自治体のホームページで確かめてくれ。
片づける前に撮る写真は「家の外」と「家の中」
内閣府は、調査の前に家を取りこわしたり、片づけたりすると調査がむずかしくなるとしておる。だから、できるかぎり被災した人自身で写真を撮って残しておくよう、自治体に広報を求めておるんじゃ。
内閣府のチラシによると、写真は罹災証明書だけでなく、保険会社に損害保険を請求するときにも役に立つ。撮るのは家の外と中。両方じゃ。
家の外は4方向から
- カメラやスマホで、家をなるべく4方向から撮る
- 水につかったときは、メジャーなどを当てて、全体が写る「引き」と、目盛りが読める「寄り」の写真を撮る
家の中は部屋ごとに
- 被害を受けた部屋ごとの全体の写真
- 傷んだところの「寄り」の写真
- 内壁、床、窓、出入口、ふすま、障子、台所、洗面台、トイレ、お風呂など、被害を受けたところは全部
上手に撮るコツ
内閣府が調査をする人に向けて出した注意書きにも、親の写真に役立つことが書いてある。
- 傷んだところを指でさしながら撮ると、あとで何を撮ったか分かりやすい
- 外では逆光、中では暗さや手ぶれに気をつける
- カメラやスマホの日時を正しくしておき、撮った日時を残す
枚数は気にせんでよい。写真は多めに撮っておいてかまわん。あとで「あそこも撮っておけば」とならんようにな。ただし、傾いた家や崩れそうな場所には近づかないこと。安全がいちばんじゃ。
申請のしかた:窓口・郵送・オンライン
申請先は、被災した家のある市町村じゃ。家族が遠くに住んでいても、出す先は親の家がある市町村になる。
申し込みの方法
出し方はいろいろある。受け付けの方法は自治体ごとにちがう。広島市の例では、窓口、郵送、オンラインのどれでも申請できる。
デジタル庁によると、マイナンバーカードを使ってマイナポータルからオンラインで申請できる自治体もある。ただし、対応しているかどうかは自治体によってちがうそうじゃ。
持っていく物の例
千葉県野田市の例では、申請に次の物が要る。
- 罹災証明書の交付申請書
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなどの写し)
- 被害の状況が分かる写真
- 委任状(別居の親族などが申請する場合)
離れて暮らす家族も、委任状があれば申請できることが多い
野田市は、別居の親族が申請するときは委任状が必要と案内しておる。広島市も、代理の人が申請するときは委任状が要るとしておる。
親が申請に行けないときは、家族が代わりに出せることもあるんじゃ。委任状の書き方や様式は、親の住む市町村のホームページで確かめてくれ。
申請はなるべく早く
申請の期限や手数料も、自治体によってちがう。広島市の例では、期限は原則として被害のあった日の翌日から3年以内じゃ。
野田市は、災害との因果関係を証明する書類だから、時間をおかずに申請してほしいと呼びかけておる。申請のときに写真を出すと、証明書が出るまでの期間を短くできるともしておる。
「被災証明書」とはちがう
似た名前の書類に被災証明書がある。広島市の例では、カーポートや自動車など、住まい以外の物の被害を届け出たことを証明する書類じゃ。家の被害の程度を証明するのは罹災証明書のほう。申請するときは、名前をよく見てくれ。
調査と判定のしくみ
申請すると、市町村の職員が家を調べて被害の程度を決める。内閣府の資料によると、地震の場合の調査には2つある。
外から見て、屋根や外壁などの傷みから家全体の被害を推定する。立ち会いがなくてもでき、比較的早く証明書が出る
外に加えて家の中にも入ってくわしく調べる。被災した人が希望すれば行われる。立ち会いが要り、日程の調整に時間がかかることもある
内閣府の資料には、「外壁の傷みは小さいけれど、床がでこぼこして、ふすまが開けにくい」という例が挙がっておる。中の被害が大きいと思うときは、第2次調査を頼めるんじゃ。
ひとつ注意がある。第2次調査をすると、判定が第1次調査と変わることがある。内閣府は、このことをよく分かったうえで申請してもらうよう、自治体に説明を求めておる。
写真だけで済むこともある
被害が軽い場合は、写真をもとに「一部損壊」と判定することに本人が納得すれば、現地の調査を省ける自己判定方式をとる自治体もある。ここでも写真が役に立つんじゃ。
赤い紙が貼られても「全壊」とは限らない
地震のあと、建築士などが建物に「危険」などの紙を貼っていくことがある。これは応急危険度判定といって、余震でくずれる危険があるかを見るものじゃ。
内閣府によると、罹災証明書のための調査とは目的も基準もちがう。「危険」と判定されても、必ず「全壊」になるとは限らん。紙が貼られても、罹災証明書の申請は別に必要じゃ。
判定に納得がいかんときは、あきらめんでよい。写真を手もとに残しておけば、あとで相談するときの材料になるんじゃよ。
罹災証明書で受けられる主な支援
罹災証明書で受けられる支援を、内閣府の資料からいくつか紹介しよう。どれも災害の規模や区分によって、使えるかどうかが変わるから、くわしくは市町村に聞いてくれ。
家に雨が入るのを防ぐ「緊急の修理」
屋根や外壁、窓などが傷んで、雨が入って被害が広がりそうな家には、ブルーシートや土のうなどの資材を配ったり、業者がブルーシートを張ったりする制度がある。対象は、準半壊以上と判断された家じゃ。
災害救助法にもとづく制度で、基準額は1世帯5万6,400円以内(令和8年4月)。災害が起きた日から10日以内に行う。準半壊以上かどうかは、職員の現地確認か、被災した人が持ってきた写真で判断するそうじゃ。
暮らしに要る部分を直す「応急修理」
居間や台所、トイレなど、暮らしに最低限必要な部分を応急的に直す制度もある。中規模半壊、半壊、準半壊などの家が対象で、都道府県などが業者を通じて直すしくみじゃ。
基準額は、大規模半壊・中規模半壊・半壊の世帯で75万7千円以内、準半壊の世帯で36万7千円以内(令和8年4月)。罹災証明書に書かれた区分で、使えるかどうかが決まる。
生活を立て直す「被災者生活再建支援金」
家が全壊するなど、大きな被害を受けた世帯には、被災者生活再建支援金が出る。内閣府の資料によると、基礎支援金は全壊などで100万円、大規模半壊で50万円。家を建てる・買う・直す・借りる方法に応じて加算支援金もあり、合わせて最大300万円じゃ。ひとり暮らしの世帯は4分の3の額になる。
対象になるのは、10世帯以上の家が全壊した市町村などの自然災害じゃ。どんな災害でも出るわけではない。申請の期限は、基礎支援金が災害の日から13か月以内、加算支援金が37か月以内。申請には罹災証明書と住民票などが要る。
「保険金で直せます」とすぐ契約しない
災害のあとは、混乱に便乗した悪質な商法が増える。国民生活センターに寄せられた相談には、こんなものがある。
- 台風で瓦がずれ、見積もりのつもりで業者を呼んだら、勝手にシートをかけられ、高い作業料金を求められた
- 突然来た業者に「火災保険で修理できる」と言われ、保険請求の代行と修理を頼んだが、やめたい
- 3年前の災害の調査員を名乗る人に、保険金請求のサポートをすると言われて契約した
国民生活センターは、契約をせまられてもその場では決めず、できれば複数の業者から見積もりをとってくらべるよう呼びかけておる。困ったときは、消費者ホットライン188に相談してくれ。
親には、「家を直す話は、家族に電話してから決める」と約束しておいてもらおう。保険のことは、入っている保険会社や代理店に直接聞くのが確かじゃ。
国民生活センターによると、契約したあとでもクーリング・オフができる場合がある。それに、古くなって傷んだところを災害のせいにして保険金を請求するのは、絶対にやめるよう呼びかけておる。「タダで直せる」という話には、気をつけてくれ。
義援金をよそおう人もおる。国民生活センターは、公的機関が電話などで義援金を求めることはないとしておる。
被災する前に、今やっておけること
備えは、ふだんのうちに。罹災証明書の話は、被災してからのことじゃ。じゃが、前もってやっておくと楽になることがある。
ふだんの家の写真を撮っておく
被災したあとは、家がもとはどうだったかを説明しにくい。帰省したときに、家の外を4方向から、中を部屋ごとに撮っておくと、くらべる材料になる。これはわしのおすすめじゃ。
保険証券の場所を聞いておく
親が火災保険や地震保険に入っているか、証券がどこにあるかを聞いておこう。内閣府のチラシにあるとおり、被災したときの写真は保険の請求にも役立つ。
委任状と申請方法を調べておく
親の住む市町村のホームページで、罹災証明書のページを一度見ておいてくれ。委任状の様式があるか、オンライン申請ができるかが分かる。親がマイナンバーカードを持っているかも、聞いておくとよい。
家の中の安全は、家具の固定、賃貸でもできる方法から始めるのがおすすめじゃ。ハザードマップで親の家のまわりの危険を見ておくのも大事じゃぞ。くわしくはハザードマップの見方・使い方|高齢者世帯が確認すべき災害リスクにまとめておる。
間違えやすい3つ
内閣府は、片づけや修理の前に写真を撮って残すよう呼びかけておる。片づけると調査がむずかしくなる
応急危険度判定は別の調査じゃ。「危険」でも、罹災証明書で全壊になるとは限らん
委任状があれば、別居の家族などが申請できる自治体が多い。様式は市町村で確かめる
やらなくていいこと・やってはいけないこと
がんばりすぎなくてよい。やらなくていいことと、やってはいけないことを書いておく。
ぶれていなければ十分じゃ。枚数を多めに撮るほうが大事
申請は郵送やオンラインでできる自治体もある。まず電話で「写真を撮って」と伝えれば十分じゃ
傾いた家の中、崩れそうな壁のそば、屋根の上には近づかない。写真より命じゃ
屋根の上の様子は、地面から撮れる分だけでよい。親が屋根に上がろうとしたら、止めてくれ。
災害のあとの親は、気持ちがいっぱいいっぱいじゃ。家族の「写真だけ撮っといて」のひと言が、あとで大きな助けになるんじゃよ。
今日できる3つのこと
最後に、今日すぐできることを3つだけ。どれも10分で終わるぞ。
「(市町村名) 罹災証明書」で調べて、申請方法と委任状の様式を確かめる
「被災したら、片づける前に写真」。電話でひと言伝えておく
火災保険・地震保険に入っているか、証券はどこか、親に聞いておく
よくある質問
Q. 罹災証明書は、家族が代わりに申請できる?
A. 多くの自治体で、委任状があれば別居の家族などが代わりに申請できる。千葉県野田市は、別居の親族が申請するときは委任状が必要と案内しておる。様式や必要書類は、親の住む市町村で確かめてくれ。
Q. 片づける前に、どんな写真を撮ればいい?
A. 内閣府のチラシによると、家の外はなるべく4方向から、家の中は部屋ごとの全体と、傷んだところの寄りを撮る。水につかったときは、メジャーなどを当てて浸水の深さが分かるように撮るとよいそうじゃ。
Q. 罹災証明書の申請に期限はある?
A. 期限は自治体によってちがう。広島市の例では、原則として被害のあった日の翌日から3年以内じゃ。ただ、支援金などには別に期限があるから、なるべく早く申請しておくのが安心じゃ。
Q. 「危険」の紙が貼られたら、罹災証明書は要らない?
A. 要る。「危険」などの紙は応急危険度判定といって、余震でくずれる危険を見るものじゃ。内閣府によると、罹災証明書のための調査とは目的も基準もちがい、「危険」でも必ず全壊になるとは限らん。罹災証明書は別に申請してくれ。
出典
- 内閣府(防災担当)「住家の被害認定調査における写真撮影に係る留意事項について」およびチラシ「住まいが被害を受けたとき最初にすること」(令和2年7月5日)
- 内閣府(防災担当)「住家の被害認定調査に関する被災者への説明について」(令和8年6月24日)
- 内閣府(防災担当)「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」
- 内閣府(防災担当)「罹災証明書の概要」
- 内閣府(防災担当)「被災者生活再建支援制度の概要」
- 内閣府(防災担当)「被災者支援に関する各種制度の概要」(令和8年6月1日現在)
- デジタル庁「罹災証明書(り災証明書)をマイナポータルから申請する方法」
- 千葉県野田市「罹災証明書・罹災届出証明書」
- 広島市「罹災証明【火災を除く】」
- 国民生活センター「ご用心 災害に便乗した悪質商法」(2026年6月29日更新)
本記事は2026年10月時点の情報にもとづいています。罹災証明書の申請方法・必要書類・期限・手数料は市町村によって異なります。支援制度の対象や金額は災害の規模や被害の区分によって変わりますので、被災した家のある市町村や都道府県にご確認ください。