そなえじぃの口ぐせ
2026年3月20日
そなえじぃには、口ぐせがある。
朝、キッチンで食料棚を整理しながら——
「古いものから使って、新しいものを後ろに。ローリングストックじゃ。備えは愛じゃ!」
ひなたちゃんは床に座って、半目で眺めていた。
……また言ってる。
昼になると、今度はリビングで防災グッズのカタログを広げ——
「モバイルバッテリーは常にフル充電が鉄則じゃ。備えは愛じゃ!!」
ソファの背もたれの上からひなたちゃんは、しっぽをぱたりと落とした。
……またぁ。
一日に何度聞いただろう。ひなたちゃんは静かにあくびをした。
夜、テレビから硬い声が流れてきた。
「各地で大雨の被害が続いています。避難指示が……」
そなえじぃはテレビを見つめたまま、静かに言った。
「……備えは愛、じゃろ?」
今度は、口ぐせじゃなかった。
ひなたちゃんはそっと立ち上がり、そなえじぃの隣に体をくっつけた。
温かかった。
「……たしかに」
ふたりはしばらく、並んで画面を見ていた。
ローリングストックに向いているのは、おいしくて日持ちする非常食。
「非常食っぽくない」ものほど、日常使いしやすくておすすめです。